2009年2月9日月曜日

世界の終わり、あるいは始まり

久しぶりに本格的なミステリーを読みたくて、手にしたのが歌野晶午の『世界の終わり、あるいは始まり』。
仰々しいタイトルだが、内容もなかなか仰々しい。

粗筋はを簡単に説明すると、埼玉近辺で小児誘拐事件が立て続けに起こる。
身代金はどれも200万円以下の少額。
しかし、たとえ身代金を払っても、誘拐された子供は短銃で撃たれ遺体として発見される。
そんなニュースを傍目に「哀れには思うが、我が子が狙われなくてよかった。世間は物騒だが、我が家は相変わらず平和だ。」と考えている父親がいる。
しかし、その父親が息子の部屋に入った際に、息子と事件との関連を見つけてしまう。
その時に父親が起こす行動とは・・・。

粗筋はそれほど目新しくはないが、小説の構成が斬新ではある。(ネタバレになるので、詳しくは説明しないが。)
だけど、私個人的には受け入れがたいな。
構成でごまかして、伏線や謎解き、疾走感といったミステリーの醍醐味が失われている気がする。
途中までの展開は好きだったし、最後にどんでん返しがあると期待していたので残念である。
かと言って、心に響くメッセージ性のようなものも感じられなかったし。

それと事件に社会的な問題を反映させたのかもしれないが、あまりにもリアリティが感じられないし。
まぁ、緊迫感はあったのでそれなりに楽しむことはできましたけど。

暫くは歌野作品はいいや。

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