2009年9月19日土曜日

物語 フランス革命

作家の平野家一郎さんが『ウェブ人間論』という本の対談の中や、『ドーン』という作品を書いたときに、
「現代を知るための手段の1つに過去を知ることがあって、そういった意味で『葬送』というフランス革命期の小説を書いた。」
というようなことを言っていて、なるほどと思った。
歴史を知ることは過去の過ちを繰り返さないようにという話を聞いたことがあったけど、現代を知るための作業でもあるのかと。
そして、『物語 フランス革命』という本を読み、それが正しいことを確信した。

フランス革命は、私の中ではずっと気になっていたテーマだったので、この本を読みかなり解消された。
本書は、フランス革命が勃発するまでのルイ16世の業績、そしてフランス革命中の失態、恐怖政治、ナポレオンの軍人としての業績、そしてフランス国内の統治、皇帝となる戴冠式までの流れが説明されている。
それはとても分かりやすく、なおかつ、当時の熱気が伝わってくるような臨場感を感じることができる。
本のタイトルに「物語」とついているだけあって、とても読みやすく面白い構成になっている。

著者は本書の中でも、確かに恐怖政治などはなかった方が良いに決まっているが、それでもフランス革命の意義深さや歴史的な重要さを何度も説いている。
「国民主体の国家を築くべきである。全ての人間は自由であり平等である。生まれによって左右されるべきではない。」といった理念はすぐには実現できなかったが、この理念があったお陰で今の時代を築けたのだと。
私もその考えには、大いに賛同してしまう。

何年か前に読んだ『権利のための闘争』では
「たくさんの血が流れた闘争の末に、一般庶民が参政権を得ることができた。それを自覚するべきで、その権利を大切にするべきだ」というようなことを訴えていたが、今更ながらこの考えの重みに気付かされた。

政治の汚職やマスコミの下品な報道には嫌気がさすばかりだが、だからこそ読んでもらいたい一冊。


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