2007年10月24日水曜日

罪と罰

少し前にドストエフスキーの『罪と罰』を読んだ。

僕にとっては、あまりに重苦しく、重厚な小説。
面白いとか、共感できるというわけではないのだが、この小説は物凄い力を持っているのだと感じた。

高圧的な文章でもなく、話の展開が面白いわけでは決してない。
しかし、この本を開けばそれがどこであろうと『罪と罰』の世界に引き込まれ、突如として海の底に沈んだかのような気分にさせられる。

この力強さは現代文学ではちょっと味わえないかな。
しかし、それは何故なのだろう。

きっと昔と今の情報量の違いから文学の質が変化しているのかなと僕は思う。
というのは、それほど情報量が多くない時代では、確実に現代よりは人間そのものが考察の対象なっていた。
よって、小説を書く際に自分という人間を掘り下げていく作業が中心となり、悲観的な結末を迎えるような作品が多い気がする。

しかし、情報量が多い現代では考察の対象が人間より社会へと傾きかけてきているように思える。
その結果、小説も社会問題やより多様な内容がかかれる気がする。

人間そのものを掘下げることと社会問題を掘り下げること、引き込ませる力がどちらにあるかは自明のこと。




そんなことを考えていたら、次に読む小説が見つからなくなってしまった。
誰かお勧めの小説を教えてください。

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