本展示会は長谷川等伯初の大回顧展のうえに、東京では僅か25日という短期な展示会です。
と言うことで、多少の混雑は覚悟していましたが、開演の9時半前からの長蛇の列には驚きでした。
まぁ、今回ばかりはしょうが無いと待つこと15分ほどで中に入れました。
展示会は、まずは長谷川信春と名乗っていた頃に描かれていた仏画から紹介されます。
仏画の見方はよく分かりませんが、緻密さや完成度の高さには驚かされます。
画像は「三十番神図」です。
信春での名声も高まり、描かれた肖像画の1つに「千利休像」があります。
千利休の慈悲深さのようなものを感じれる気がします。
その後、豊臣秀吉の長男を弔うために描かれた「楓図壁貼付」を始めとする豪華爛漫な屏風絵が続きます。
そして、後半は水墨画の世界へ。
私が見た「竹林猿猴図屏風」の画像がないので、「枯木猿猴図」を紹介します。
アップにすると…。
枯木(私が見たのは竹林)が力強く、そしてとても自由に描かれていてすごく心地よかったです。
前に漫画家の井上雄彦さんの筆遣いが長谷川等伯のいい意味で制御していない筆遣いと似ているという話を読んだが、その言葉を思い起こされます。
そして、なんと言ってもこの猿たまりません。
本当は墨で描いた猿ではなく、屏風に毛を張付けたのではと思いたくなるほどのフワフワ感。
すごく心踊る一枚でした。
そして最後の作品は、「松林図屏風」。
松林を描くことで、松林に立ち籠める濃霧が描かれた作品です。
私には言葉にすることが出来ません。何故か泣きそうになります。
本当は少し離れた位置から、静かに長い間眺めていたかったのですが、あまりの人の多さに実現出来ませんでした。
でも、このまま終えるのもあまりに勿体無いと思い、もう一周作品を見返してから帰路につきました。
こんな感じで、かなり満足度が高く、等伯の水墨画にあまりに魅了された展示会でした。
大回顧展ではなくても、またお猿さんや松林を見れる機会があるなら、是非とも見てみたいです。